東京女子大学の問プロジェクト03番女性議員の割合について考える
東京女子大学の「問いプロジェクト」
・問いプロジェクトとは?
東京女子大学のリベラルアーツならではの学びや、その魅力を広く知ってもら、うという目6月3日(月)から始まった。
6つの学科から、全部で「7つの問い」が出題されている。
東京女子大学はこの問いについて、以下のように記載している。
学生が身近に感じられる「問い」から、世界が抱える社会課題について考える「問い」 まで、分野横断的にも捉えられる7つの「問い」を通して、ひとつの正解を探すのではなく、領域を超え多様な視点から学ぶこと、議論することを大切にし、学び続ける姿勢を養う本学ならではのリベラルアーツ教育の魅力を感じていただきたいという想いを込めています。-
そしてこれらの問いは、日本経済新聞や東京都内を中心とした屋外広告・車内広告にて掲示されるという。
・03の問い「女性議員の割合」について
今回私が車内で目にとまったのは、現代教養学部 国際社会学科の03番の問いであった。
―ルワンダ共和国の女性議員の割合は61.3%、それに対して日本は10.0%です。この差についてどう考えますか。―
という問いである。
この文章を読んだときやはり一番に目が行くのはルワンダと日本の女性議員の割合の大きな差であると思う。
ふと頭に浮かんだことは、日本って遅れてるな、という事である。そして、ほぼ同時疑問も浮かんだ。それは、そもそもどうしてルワンダはこんなにも女性議員の割合が大きいのだろうか、である。
・ルワンダの女性議員が多い理由は?
ルワンダの女性議員が多い理由、それは歴史的背景から見ることができるようだ。
1994年、当時ルワンダ大統領だったハビャリマナ大統領とブルンジ大統領だったシプリン・ンタリャミラを乗せた飛行機が撃墜され、二人は死亡した。ハビャリマナ大統領は、ルワンダの約85%を占めるフツ族の出身であった。そこから、飛行機を撃墜したのは少数民族のツチ族だと非難が生まれた。こうして、以前から緊張状態にあったフツ族、ツチ族の両民族間で壮絶な殺し合いに発展したという。
この争いで、多くの男性が姿を消した。亡くなったり、逃亡したり、囚人となったりと様々だ。紛争後、人口の8割を女性が占めていたという。残された女性達は必要性と現実に迫られ、国の指導部に生まれた空席を埋めていくこととなった。こうして多く女性が政治に参加するきっかけが生まれた。2003年には憲法で「意思決定機関において30%以上を女性にする」というクオータ制を制定したという。
・女性議員の数とジェンダー平等は比例するのか?
きっかけは紛争という予期せぬものであったとしても、男性のように女性も政治に加わっていく元となる、女性議員の割合の増加に繋がった。
しかし、ここで気になるのはジェンダー平等の実態である。
半数以上を占める女性議員はしっかりと声を上げられる状態にあるのか、家父長制や男尊女卑など文化的な差はどれくらい存在するのか、という疑問である。
2024年3月8日の朝日新聞の記事に、このような疑問を解く記事が掲載されていた。タイトルは「女性議員、6割超えても ルワンダ、数字で見えない実情は」である。この疑問の結論としては、不平等・野党への弾圧は今もなお存在しているということだ。
指導層として活躍する女性でも、家事や育児は「女性の責任」と語る人は少なくない。政府主導で女性の社会進出を進めた結果として、家事、育児、仕事の「三重苦」が、女性の肩にかかっている状態だ。
このことから見ると、女性議員の割合がジェンダー平等に必ずも比例する訳ではないことが分かる。
あたりまえかもしれないが、女性議員の割合が大きいことが最終目的ではない。女性の声と男性とを同等に反映するために、暮らしのなかのジェンダー格差を減らしていくために、などなど。あくまで数は過程であり、様々な目標がその数の後ろには存在する。
だか、どうしてこんなにも私たちは数に反応してしまうのだろうか。
・目に見える数の割合の存在の大きさ
今回取り上げたこの「問い」を見つけた時、女性議員の割合の数に真っ先に目がいき、物事を考え始める人は多いのではないか。批判する訳ではない、私もそうだったのだから。
実際ふたを開けてみるとこの数はすべてではないことが、今回調べていてよく分かった。(恥ずかしながら常識が足りず無知からのスタートでした(-_-;))
それでもあの数を見ると初めは日本が遅れてるように見えてしまったし、女性議員の数を増やすことがゴールのような感覚で見ていた。
それは男女平等に向けて進んでいることが、目で見て分かる数字の一つであることが影響していると考える。友人の「生活は明確に見えないけど議席数とかって見える化できる」という言葉がとてもしっくりきた。
・最後に
今回このブログを書いている際、東京女子大の問プロジェクトへの批判をX(旧Twitter)で数多く見かけた。問いに対する批判から、問いに関わらない女子大、学部生への批判まであった。
私が取り上げたルワンダの問いに対しては、「数字だけ見ても意味ない浅はかな問いだ」「ルワンダの歴史を知っていてこれを作ったのか」などが多く見られた。
しかしプロジェクトの目的は、この広告で批判された点である、数だけをみないで考え・学ぶという事である。Xで見られた数多くの批判も中身を見る前につぶやいているようなものが多いように感じた。
誰でも簡単に意見が発信できるようになった現代社会で、一歩立ち止って考え・調べ・学ぶという大切さを、問い含め批判からも強く感じられたプロジェクトであった。
*1:引用:「問いプロジェクト-TONJO QUESTION-」始まります | トピックス | 東京女子大学 (twcu.ac.jp) .2024/6/6
*2:参考文献:大虐殺がきっかけに ルワンダは今や女性活躍先進国 - 日本経済新聞.日本経済新聞.2019年11月3日.2024/6/6